USカリフォルニア州パームデザートのポストハードコア/ノイズロックバンド「LOWERCASE」が、1999年にUNWOUNDのベーシストVern Rumseyが運営していたPUNK IN MY VITAMINSから発表した3rdにして最終アルバム“The Going Away Present”が、2026年にPHONOGRAPHから再発。前作“Kill The Lights”のJustin Halterleinに代わり、本作ではTiber Scheerがベースを担当。Tim Green(THE FUCKING CHAMPS、NATION OF ULYSSES)がレコーディングを手掛け、アコースティックギターでも参加しています。前作“Kill The Lights”では、乾いた単音ギター、不意に切断されるリズム、フィードバックと轟音の爆発を組み合わせた荒々しいノイズロック色が前面に出ていましたが、本作ではその鋭さを残しながら、テンポを落としてメロディと反復をさらに重視。急激な静と動の切り替えで緊張感を作る前作に対し、本作では同じリフやリズムを長く持続させ、音数や音量を少しずつ変化させながら楽曲を展開しています。静かに刻まれるギター、低く一定の動きを繰り返すベース、余計な装飾を排したドラムがゆっくりと楽曲を前進させ、不協和音やフィードバックも瞬間的に爆発させるのではなく、演奏の背後へ持続的に配置。ヴォーカルも絶叫で押し切らず、抑制された歌声や囁きに近いパートを中心に据え、沈んだメロディを明確に打ち出しています。前作の神経質で切迫した感触から、より重く厳粛で、スローコア/ポストロックへ接近したサウンドへ深化。SLINT以降の静寂と緊張感、UNWOUNDのねじれたポストハードコア、SONIC YOUTHの不協和なギターワーク、スローコアの沈み込むテンポを独自のバランスで融合。終盤には11分を超える長尺曲も収録され、反復するフレーズの音量、響き、密度を徐々に変化させることで、大きな起伏を作り上げています。オリジナル盤はポストロック/スローコア/インディーロック周辺で高値を付ける入手困難盤となっていました。今回の再発ではDave Gardnerがリマスターを担当し、ギターの乾いた残響、ベースの深い低音、ドラムの細かな強弱までを明瞭に捉え直した160グラムヴァイナル仕様。前作の荒々しい衝突から、重く引き延ばされた反復と抑制されたメロディへ踏み込んだ、LOWERCASEの最終到達点となる全8曲。