USカリフォルニア州パームデザートで1993年に結成されたポストハードコア/ノイズロックバンド「LOWERCASE」が、1997年にAMPHETAMINE REPTILEから発表した2ndアルバム“Kill The Lights”が、2026年にPHONOGRAPHから再発、アートワークを一新しています。ギター/ヴォーカルのImaad WasifとドラムのBrian Girgusによるデュオとして始動したバンドへ、本作からベースのJustin Halterleinが加わった3人編成で制作された全7曲。乾いたギターの単音リフ、突然切断されるようなリズム、不穏なフィードバック、崩れ落ちる寸前まで感情を抑え込んだヴォーカルを軸に、45分にわたって重く引き延ばされたポストハードコアを展開。SLINTの静寂と緊張感をさらに荒々しく増幅し、UNWOUNDのねじれたギターサウンドを、より内向的で孤独な方向へ押し進めたような音像を構築しています。ギターは硬質なアルペジオや短い単音フレーズを反復しながら、歪み、ハウリング、不協和音を徐々に重ね、ベースとドラムは極端に音数を絞ったパートから一気に重量を増す展開を形成。静かな場面にも常にフィードバックや残響が漂い、SONIC YOUTHの不協和なギターワーク、AMPHETAMINE REPTILE周辺のノイズロックが持つ重さ、スローコアにも通じる極端な「間」が同居しています。遅く沈み込むパートと激しく崩れる瞬間の落差を使いながら、単純な静と動の繰り返しには収まらない複雑なリズムと構成も本作の大きな特徴。メロディを完全に排除しているわけではなく、鋭いノイズの奥には沈んだヴォーカルラインと反復するギターフレーズが残り、重苦しい楽曲を最後まで引っ張る明確なフックとして機能。ドライで隙間の多い演奏と、突如として押し寄せる低音と轟音のコントラストが、現在のノイズロック、ポストハードコア、スローコアにも直結する先鋭的なサウンドを作り上げています。オリジナルLP発売以来初となる今回の再発では、Dave Gardnerがリマスターを担当。乾いたギターの輪郭、ベースの深い響き、ドラムの硬いアタック、各楽器の間に残された空間までを明瞭に捉え直した160グラムヴァイナル仕様。90年代ノイズロックの重量と、ポストハードコアの緊張感、スローコアの間合いを独自のバランスで結び付けた重要作。