USミルウォーキーのハードコアコアバンド「DIE KREUZEN」が1984年にTOUCH AND GOからリリースした1stアルバムが2026年に再発。イリノイ州ロックフォード出身の2人とウィスコンシン州ブルックフィールド出身の2人が、両地域の中間地点となるミルウォーキーで1981年に結成。ドイツ語で「交差する」「混成する」といった意味を持つバンド名は、ひとつのジャンルやイメージへ分類されることを避けるために選ばれ、その名の通りハードコアを出発点にノイズロック、ポストパンク、メタル、オルタナティヴロックを横断していくことになります。本作は20曲を約29分で叩きつける初期USハードコア屈指の怪作。Dan Kubinskiの神経を直接引っ掻くような絶叫、Brian Egenessの金属片を高速で擦り合わせるようなギター、Keith Brammerの歪んだベース、Erik Tunisonの異常な手数と変則的なアクセントを持つドラムが衝突。BLACK FLAG以降のスピードと攻撃性を持ちながら、直線的なスラッシュへ収まることなく、不協和音、急停止、捻れたリフ、制御不能寸前のフィードバックを曲中へ放り込み、ハードコアの形式そのものを内側から変形させています。後の2ndアルバム“October File”では速度を落とし、ゴシック、ポストパンク、ノイズロック、メタルの要素を大胆に拡張していきますが、本作にはその突然変異前夜の初期衝動が最も凶暴な状態で封じ込められています。速く短いだけではない異様な演奏力と構築感が随所から漏れ出し、80年代後半のオルタナティヴ/ノイズロック、90年代のグランジ、さらにVOIVODやNAPALM DEATH周辺のエクストリームミュージックへ波及する感覚をすでに提示。後年にはSteve Albini、Thurston Moore、Lou Barlowらからも支持され、時代を先取りしすぎたバンドとして評価を高めていったのも納得の内容です。BLACK FLAG、VOID、ARTICLES OF FAITH、NAKED RAYGUN、初期HÜSKER DÜ、SACCHARINE TRUSTなどが好きな人はもちろん、BIG BLACK、SONIC YOUTH、THE JESUS LIZARD、MELVINS、VOIVOD、NAPALM DEATHへ連なる異形のヘヴィミュージックを掘り下げるうえでも避けて通れない一枚。初期USハードコアの速度と暴力性を極限まで押し進め、その先にあるポストハードコア/ノイズロックの可能性までこじ開けた重要作です。