USシアトルを拠点に活動する電子音楽家Jeff McIlwainによるソロプロジェクト「LUSINE」が、2017年にGHOSTLY INTERNATIONALから発表した傑作“Sensorimotor”の10周年記念盤。2026年リプレスとなる本作は、ブラック/ホワイト・スプラッター仕様の2枚組ヴァイナルにOBIを付属した限定エディション。90年代末からLUSINE名義で活動を続けてきたJeff McIlwainは、IDMやミニマルテクノを基盤としながら、エレクトロポップ、アンビエント、実験音楽を横断し、精密に構築された電子音へ人間的な温度と感情を持ち込んできたプロデューサー。本作では2013年の前作“The Waiting Room”で提示したポップな方向性をさらに推し進め、複雑なビートプログラミング、流動的なベース、透明感のあるシンセ、切断/再配置されたヴォーカルを、極めて耳馴染みの良い全11曲へまとめています。タイトルの“Sensorimotor”とは、知覚した情報を身体の動作へ結びつける「感覚運動」を意味する言葉。鳥の群れが瞬時に動きを共有するような感覚と行動の連携、そして作曲における緻密な制御と直感的な判断の関係をテーマに、機械的な構築美と本能的な揺らぎを同時に表現。MPC1000、Prophet-5、ハンドパーカッション、グロッケンシュピール、フィールドレコーディング、生楽器のサンプルを組み合わせ、デジタルとアナログ、人工物と自然音の境界を曖昧にしています。Sarah McIlwain、Vilja Larjosto、Benoît Pioulardをヴォーカルに迎え、声を単なる歌として扱うのではなく、細かく分解してループさせ、アルペジオやリズムの一部へ変換。柔らかな歌声とスキップするビート、木管楽器の断片、オルゴールのような旋律が精密に噛み合い、ダンスミュージックとしての推進力を持ちながら、ヘッドフォンリスニングにも耐える細密な音響空間を形成しています。代表曲“Just A Cloud”を筆頭に、親密なエレクトロポップから深いアンビエント、鮮やかなテクノまでを自然に移行していく構成も見事。感覚を刺激する繊細なテクスチャーと身体を動かす大胆なリズムが等価に共存し、技巧的でありながら冷たくならず、ポップでありながら細部の実験性を失わない絶妙なバランスは、LUSINEの長いキャリアの中でもひとつの到達点。FOUR TET、THE FIELD、APPARAT、BOARDS OF CANADA、MATTHEW HERBERTはもちろん、TELEFON TEL AVIVの緻密な電子音響、STEREOLABの反復と柔らかな電子感覚、THE POSTAL SERVICEの親密なエレクトロポップが好きな人にもおすすめの名盤です。ボーナストラック入りのダウンロードクーポン封入。