【廃盤】DISCHORDの設立者であり、MINOR THREAT〜FUGAZIを通じてUSハードコア/DIYシーンの在り方そのものに大きな影響を与えてきたIan MacKayeと、THE WARMERSのドラマーでありGeoff Farina(KARATE)の妹でもあるAmy Farinaによる男女2人組「THE EVENS」。2005年のデビューアルバム“The Evens”に続き、2006年にDISCHORDよりリリースされた2ndアルバム“Get Evens”。Ianがバリトンギター、Amyがドラムとヴォーカルという極端に削ぎ落とされた編成で、FUGAZI活動休止後のIan MacKayeが辿り着いた新たなDIYサウンド。アンプを壁のように積み上げることも、ハードコア特有の速度や轟音に頼ることもなく、低く響くバリトンギターの反復するフレーズと、Amyのしなやかで変則的なドラミング、そして2人の男女ヴォーカルの掛け合いだけで独特の緊張感を作り上げています。一見すると非常にシンプルでミニマルながら、FUGAZIにも通じる鋭角的なリズム感、反復、間の取り方、不穏なコード感は健在。そこへフォークやローファイ、インディーロック的な親密さを持ち込み、従来の「ハードコア」というフォーマットから離れながら、その根底にある反骨精神とDIYの思想だけを純度高く抽出したようなサウンドを展開しています。特にAmy Farinaのドラムは単なる伴奏ではなく、Ianのギターと対等に会話するもうひとつの旋律のように機能し、2人だけとは思えない奥行きを生み出しています。MINOR THREATからFUGAZIへ、そしてTHE EVENSへ。音楽的なスタイルは大きく変化しながらも、既存の方法論に寄り掛からず、自分たちに必要な音だけで音楽を成立させるIan MacKayeの姿勢は一貫。派手さとは無縁ながら、聴き込むほど2人のアンサンブルの妙が浮かび上がる、2000年代DISCHORDを代表する重要作です。
CONDITION
MEDIA : NM
SLEEVE : VG+