MOJAVE 3 / Out Of Tune CD

SLOWDIVEが”Pygmalion”を完成させた頃、バンドはすでに終焉へ向かっていました。残されたのは、Neil Halstead、Rachel Goswell、そして新たに加入したドラマー Ian McCutcheonの3人。Pygmalion制作と並行して、NeilはLeonard Cohen、Nick Drake、Townes Van Zandt、Gram Parsonsらに影響を受け、静かなアコースティック曲を書き始めます。それはアンビエントへと向かったPygmalionとは対照的な、より「歌」を中心に据えた音楽でした。CREATIONとの契約終了、そしてSLOWDIVE解散後、そのデモを聴いた4ADのIvo Watts-Russellに見出され、彼らはMOJAVE 3として新たなスタートを切ることになります。

 

デビュー作”Ask Me Tomorrow”でSLOWDIVEの残響を穏やかなフォークへと昇華したMOJAVE 3は、本作”Out Of Tune”でその変化を決定的なものにします。初期のUS/ヨーロッパ・ツアーを経て、元CHAPTERHOUSEのギタリスト Simon Roweと、キーボーディスト Alan Forresterが正式加入。さらにメンバーはコーンウォールの農家へ共同生活の場を移し、牛小屋を改装したスタジオで楽曲制作を行いました。 前作が静寂と余白を大切にした作品だったのに対し、本作ではオルガンやピアノ、ペダル・スティール、ホーンなどを積極的に導入し、サウンドはより色彩豊かで開放的なものへと進化しています。フォークやカントリーを土台にしながらも、どこか霞がかったドリームポップの空気が漂います。もはやSLOWDIVEの轟音はありません。しかし、楽曲全体を包み込む浮遊感や、淡い情景を描き出す感覚は確かに受け継がれています。Neil YoungやBob Dylan、Gram Parsonsからの影響を感じさせながらも、それを英国的な湿度と叙情性で再構築している点こそ、本作最大の魅力と言えるでしょう。「ポストSLOWDIVE」という肩書きを完全に脱ぎ捨て、自分たちだけの音楽を確立した記念碑的作品です。ドリームポップ、フォーク、オルタナカントリーが自然に溶け合い、90年代後半のUKインディーを代表する一枚として、今なお色褪せることのない輝きを放っています。1998年作品。

 

 

  • Label:4AD
  • Price:2,480
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