MOJAVE 3 / Spoon and Rafter CD

SLOWDIVEが”Pygmalion”を完成させた頃、バンドはすでに終焉へ向かっていました。残されたのは、Neil Halstead、Rachel Goswell、そして新たに加入したドラマー Ian McCutcheonの3人。Pygmalion制作と並行して、NeilはLeonard Cohen、Nick Drake、Townes Van Zandt、Gram Parsonsらに影響を受け、静かなアコースティック曲を書き始めます。それはアンビエントへと向かったPygmalionとは対照的な、より「歌」を中心に据えた音楽でした。CREATIONとの契約終了、そしてSLOWDIVE解散後、そのデモを聴いた4ADのIvo Watts-Russellに見出され、彼らはMOJAVE 3として新たなスタートを切ることになります。

 

4thアルバム”Spoon and Rafter”は、常に変化を恐れなかったMOJAVE 3が、さらに大胆な一歩を踏み出した作品です。これまでのフォークやオルタナカントリーを軸としたサウンドを残しながらも、エレクトロニクスやグロッケンシュピール、鍵盤ハーモニカ、ストリングスなどを積極的に取り入れ、これまで以上に色彩豊かなポップミュージックへと接近しています。共同プロデューサーには前作に続きMark Van Hoenを迎え、アナログな温もりと繊細な電子音が違和感なく溶け合う、バンド史上もっとも洗練されたサウンドを完成させました。本作では、THE BEATLESやTHE BEACH BOYSを思わせるメロディーセンスや緻密なアレンジが随所に顔を覗かせます。一方で、Neil HalsteadとRachel Goswellの穏やかな歌声、そして英国特有の湿度を帯びた叙情性は健在で、ポップな表情を見せながらもMOJAVE 3らしい静かな余韻は決して失われていません。アルバムを代表する”Bluebird of Happiness”や”Bill Oddity”は、親しみやすいメロディーと美しいコーラスワークを備えた名曲で、後にドラマ The O.C. で使用されたことをきっかけに、バンドを知らないリスナーにも広く知られる存在となりました。そのほかにもフォーク、ドリームポップ、サイケデリアな曲群が自然に溶け合った佳曲が並びます。本作は、MOJAVE 3が「静かなフォークバンド」という枠を越え、英国インディーポップとしての完成度を大きく押し広げた作品です。実験性とポップネスを高い次元で両立させながらも、彼らがデビュー以来大切にしてきた繊細な空気感は失われていません。キャリア後期を代表する充実作であると同時に、その柔軟な音楽性を改めて証明した一枚です。2003年作品。

 

 

  • Label:4AD
  • Price:2,480
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