upandcoming / Nothing Is But What Is Not 12"

ジャパニーズエモの系譜を語る上で欠かすことのできない京都のバンド、「upandcoming」。90年代USエモやポストロックからの影響を深く咀嚼し、日本ならではの繊細な美意識へと昇華したサウンドは、世代を超えて支持を得ています。約5年ぶりとなる4曲入りEP ”Nothing Is But What Is Not”は、その集大成でありながら、新たな到達点を示す作品。90年代USエモやポストロック/ポストハードコアが築き上げた美学を深く咀嚼し、静寂と轟音が交錯するダイナミクス、緻密なギターアンサンブル、そして研ぎ澄まされた空気感を、現代の感性で再構築しています。技巧を誇示するのではなく、ギターの残響やリズムの揺らぎ、音と音の「間」までも楽曲の一部として成立させるアンサンブルは、長年活動を続けてきた彼らだからこそ辿り着けた境地です。同じくメンバーの千川弦を中心に結成された dry river string が、ポストロック以降の感覚をフォークやジャズ、シンガーソングライター的な方向へと発展させ、歌やメロディを軸に温かな世界観を描いたのに対し、upandcomingはあくまでバンドアンサンブルそのものを追求。言葉以上に音の響きや空気感、静寂そのものが雄弁に物語を紡いでいきます。また、本作はtoe主宰レーベル MACHUPICHU INDUSTRIAS からのリリースという点も大きなトピック。さらに、toeの美濃隆章をプロデューサーに迎え、upandcomingが持つ繊細なダイナミクスや空間美をより鮮明に引き出しています。同じジャパニーズエモ/ポストロックの系譜にありながらも、そのサウンドは決してtoeの模倣ではなく、upandcomingならではの自然体なバンドアンサンブルをさらに深化させることに成功しています。90年代エモやポストロックの美学を現在進行形の表現として昇華しながらも、決して気負うことなく、肩の力の抜けた自然体のサウンドで日々の生活に寄り添う作品。静かな時間にも、慌ただしい毎日にも自然と溶け込み、聴くたびに新たな表情を見せてくれる一枚です。
  • Label:MACHUPICHU
  • Price:3,960
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