SPARTA / Cut A Silhouette CD

AT THE DRIVE-IN解散後、Jim Ward(Gt/Vo)が結成したSPARTAは、激情と混沌を極限まで押し進めたTHE MARS VOLTAとは対照的に、ポストハードコアを軸としながら、エモ、オルタナティヴロック、さらにはアメリカーナの要素までを取り込み、「歌」を何よりも大切にしたサウンドを追求してきたバンドです。2002年のデビュー作”Wiretap Scars”は、ポストハードコア史に残る名盤として現在も高い評価を受け、その後も活動休止や再始動を経ながら独自の歩みを続けてきました。そして2026年、EQUAL VISIONよりリリースされる通算6作目”Cut A Silhouette”は、過去への郷愁ではなく、「今のJim Wardだからこそ鳴らせる音」を刻み込んだ、まさに現在進行形のSPARTAを象徴する傑作です。レコーディングはAT THE DRIVE-IN初期を彷彿とさせる、わずか7日間というスピード感の中で行われ、プロデュースはJ. Robbinsが担当。余計な装飾を削ぎ落としたソリッドな演奏と、ライブさながらの緊張感が全編を貫いています。オープニング「Split Lip」は、90年代メロディックハードコアを思わせる疾走感とJim Wardならではの切迫したボーカルが一気にアルバムの世界へ引き込み、続く「Crater」「Mouthbreather」では、AT THE DRIVE-IN譲りの鋭利なギターリフと、SPARTAならではのエモーショナルなメロディが見事に融合。攻撃性と叙情性、その絶妙なバランスこそが現在のSPARTA最大の魅力であることを証明しています。そして本作最大のハイライトと言える「Everything You Say」。ポストパンク由来のうねるベースライン、シューゲイズを思わせる浮遊感あるギター、そしてエモが本来持っていた「痛みを抱えたまま、それでも前へ進む」という感情が、美しいメロディとともに結晶化された名曲です。近年のSPARTAを代表するだけでなく、Jim Wardの長いキャリア全体を見渡しても屈指の完成度を誇る一曲と言えるでしょう。中盤では、「See You Soon」のピアノを主体とした静かな叙情性、「Midnights」の夜の静寂を映し出すような深い余韻など、単なるポストハードコアに留まらない成熟したソングライティングを披露。一方、「Without Your Hands」「Mystery Of Missing」では、FUGAZIやJAWBOXを彷彿とさせる硬質なグルーヴとDISCHORD直系の緊張感を、現代的なダイナミズムへと昇華しています。余計な装飾を排したギター、力強くも決して過剰にならないリズム隊、そして歳月を重ねたからこそ深みを増したJim Wardの歌声。そのすべてが派手さではなく、音楽そのものが持つ説得力を雄弁に物語っています。エモやポストハードコアという言葉がジャンルとして定着して久しい現在、多くの再結成バンドが過去の栄光を再現することに重きを置く中、SPARTAは決してそこへ安住しません。AT THE DRIVE-INの続きを描く作品ではなく、Jim Wardというソングライターが25年以上積み重ねてきた経験、葛藤、そして現在地を真摯に鳴らした作品です。
  • Label:EQUAL VISION
  • Price:2,480
  • Qty :

SOLD OUT