WHIRR / Pipe Dreams Redux CD

USカリフォルニアのシューゲイズバンド、「WHIRR」が2012年に TEE PEE RECORDS から発表した1stアルバム”Pipe Dreams”が、リマスターと新装アートワークを施した”Pipe Dreams Redux”として、自身のレーベル FREE WHIRL より2026年に再発。現在では世界中でカルト的とも言える絶大な人気を誇り、2010年代以降のシューゲイズを語るうえで欠かすことのできない存在となった WHIRR。そのすべての始まりとも言えるのが、この”Pipe Dreams”です。後の作品群へと続いていく轟音と静寂、陰鬱さと陶酔感という彼ら独自の美学は、すでにここで明確な輪郭を持ち、デビュー作とは思えないほど完成された世界を作り上げています。何層にも重ねられたギターが巨大な音の壁を築き、その奥で男女ヴォーカルが深い残響の中へと溶けていく。MY BLOODY VALENTINE や SLOWDIVE といった先人たちからの影響を感じさせながらも、WHIRR の音楽には最初から独特の冷たさと重量感がありました。美しく幻想的でありながら、どこか閉塞感を孕み、甘美でありながら決して安らぎだけを与えない。その相反する感覚こそが、本作を単なるシューゲイズ・リバイバルの一枚では終わらせない最大の魅力です。「Reverse」の霞がかったギターと夢幻的なヴォーカルから始まり、「Junebouvier」の巨大な轟音と切ないメロディ、「Bogus」の重厚なダイナミズム、「Formulas and Frequencies」の深い残響、そして「Home Is Where My Head Is」が残す圧倒的な余韻まで、アルバム全体を通して、まるで記憶の中を漂っているかのような独特の感覚に包まれます。後の作品と比較すると、”Pipe Dreams”にはよりドリーミーで淡く、インディーロックやドリームポップに接近した瞬間も多く存在します。しかし、その奥にはすでに、後に WHIRR の代名詞となる巨大なギターの重量感、スロウなリズム、そして轟音の中から浮かび上がる切実なメロディが息づいています。完成されたスタイルを提示するというよりも、さまざまな感情と音が渦巻きながら、WHIRRという唯一無二の世界が形成されていく瞬間を記録した作品とも言えるでしょう。後の彼らを形作る要素が無数に散りばめられた、初期衝動と完成度が同居する記念碑的デビューアルバムです。
  • Label:FREE WHIRL
  • Price:2,880
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