USシカゴのギタリスト「Jeff Parker」によるバンド名義「Jeff Parker ETA IVtet」の作品が、2026年にINTERNATIONAL ANTHEMよりリリース。Anna Butterss、Jay Bellerose、Josh Johnsonという近年LAインプロヴィゼーションシーンの中核とも言えるメンバーを集めた編成であり、TORTOISE、ISOTOPE 217、CHICAGO UNDERGROUND以降、一貫してジャズ/インプロヴィゼーション/ポストロック/ヒップホップ/ミニマリズムを横断してきたJeff Parkerの方法論が、ひとつの完成形へ向かった内容となっています。本作は2025年8月20日、ロサンゼルスのロッジルームで録音/ミックスされたライブ作品ではありますが、その極度に滑らかなアンサンブルと異様な親密性によって、いわゆる“ライブ盤”的な熱量や即興性を強調した作品とは大きく異なっています。むしろ長年の演奏蓄積によって形成された呼吸感そのものを封じ込めたような内容となっており、スタジオ作品とライブ作品の境界すら曖昧にしていくような感覚を持っています。浮遊感を伴ったサイケデリックジャズ的な広がりや、スピリチュアルジャズ由来の静謐さ、さらにはドローン/アンビエント/ダブ以降の空間的な音響感覚までもが、ごく自然な形で溶け込んでいます。リズム面においても、伝統的ジャズのスウィング感覚とは異なる、ブーンバップ以降のヒップホップに通じる“重心の低いグルーヴ”が全体を支えており、その上をサックスとギターがゆるやかに浮遊するように絡み合っていきます。しかし本作が特異なのは、こうした要素をスタイルの参照元として誇示していない点でしょう。長年にわたるセッションの積み重ねによって、演奏そのものに独自の呼吸感と間合いが定着しており、その深い親密性と持続的なテンションが作品全体を静かに貫いています。もちろんTORTOISE以降のシカゴ音響派的文脈や、2020年代以降のINTERNATIONAL ANTHEM周辺作品群とも接続される内容ではありますが、本作はその中でも特に“聴くことそのもの”へ深く没入させる作品と言えるでしょう。派手な展開や技巧性を前面に押し出すのではなく、極めて緩やかな変化と持続によって、現代の即時性とは対極にある“時間の豊かさ”を静かに描き出しています。
※日本語帯+解説付き仕様。