LOW / Things We Lost In The Fire 2xLP LOW / Things We Lost In The Fire 2xLP
LOW / Things We Lost In The Fire 2xLP LOW / Things We Lost In The Fire 2xLP

LOW / Things We Lost In The Fire 2xLP

USミネソタ州ダルース出身、孤高のスロウコア/サッドコアトリオ、LOWが2001年にKRANKYからリリースした『Things We Lost In The Fire』のリプレス盤。長らくヴァイナルが入手困難となり、中古市場でも高額で取引されてきた初期〜中期LOWを代表する傑作です。時が止まったかのような静謐な空気と、息を潜めるように配置されたギター、ベース、ドラム。その広大な余白のなかからAlan SparhawkとMimi Parkerの歌声、そして圧倒的なメロディーがゆっくりと立ち上がっていく。音数を極限まで削ぎ落としながら、一音が鳴ること、一音が消えていくこと自体に強烈な意味を持たせるLOWならではの方法論を軸に、それまでの作品以上に温度や奥行き、ダイナミクスを広げた作品です。録音は前作『Secret Name』に続いてSteve Albiniが担当。シカゴのElectrical Audioで録音され、LOWとAlbiniがミックスを手掛けています。小さな音を必要以上に装飾せず、楽器が鳴っている空間、空気、余韻までそのまま封じ込めるようなAlbiniの録音とLOWの相性は抜群。Alan Sparhawkのギターの微かな歪み、Zak Sallyのベースが作る重心、Mimi Parkerの必要最小限のドラム、そしてAlan/Mimiによる声の重なりが、異様なほど生々しい距離感で記録されています。そして本ヴァイナルで特筆すべきなのが、AAA=Analog/Analog/Analogによるオールアナログプロダクション。アナログで録音されたAlbiniの音を、ミックスからマスタリングまでデジタル変換を挟まずアナログ領域で完結させた仕様で、LOWの音楽にとって極めて重要な微細な残響、声の震え、ドラムの減衰、無音に近い部分の空気までを自然な質感で再現。単なる「アナログ盤」というだけではなく、録音された音がレコードの溝へ到達するまでのプロセスそのものにこだわった、まさにこの作品をヴァイナルで聴く意味を強く感じさせる仕様です。従来の極端なミニマリズムを保ちながら、本作ではストリングス、トランペット、ピアノ、キーボードなども慎重に導入され、静寂のなかにより豊かな色彩が広がっています。単純に「遅い」「静か」というスロウコアのイメージだけでは説明できない、フォーク、ドリームポップ、アンビエント、インディロックが境界を失いながら溶け合うようなサウンドへと到達。悲しみや孤独を大袈裟な感情表現へ変換するのではなく、沈黙や反復、声の距離、音と音の隙間によってじわじわと浮かび上がらせる。その静かな緊張感と美しさこそLOWの核心であり、本作は90年代に彼らが確立したスロウコア/サッドコアの美学を引き継ぎながら、その枠組みをさらに外側へ押し広げた作品と言えます。2枚組ゲートフォールド仕様で、ヴァイナル版にはCD未収録の「Overhead」「Don't Carry It All」も追加収録。Steve Albiniによって刻まれた静寂と生々しい空気をAAAの完全アナログ工程でパッケージした、LOWというバンドが「小さな音」でどこまで巨大な感情を作り出せるのかを体感できる一枚。スロウコアという音楽の可能性を語るうえでも欠かすことのできない、2000年代USインディロック屈指の名盤です。
  • Label:KRANKY
  • Price:8,580 円
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