1989年、名門REVELATION からリリースされた「GORILLA BISCUITS」唯一のフルアルバムにして、NYHC、YOUTH CREW HARDCORE、さらにはメロディックハードコアという概念を決定づけた歴史的名盤。80年代ニューヨークハードコアの集大成であると同時に、その後の90年代ハードコア、エモ、ポストハードコアへと続く新たな時代の扉を開いた作品でもあります。REVELATION 史上最大級のセールスを記録し、現在も同レーベルを象徴する一枚として世界中で愛され続けています。GORILLA BISCUITSは、Walter Schreifels(Gt)、Anthony "Civ" Civarelli(Vo)、Arthur Smilios(Ba)、Alex Brown(Gt)、Luke Abbey(Dr)によって結成。ストレートエッジムーブメントの中心にいながらも、戒律や思想を押し付けるのではなく、「楽しむこと」「仲間を信じること」「自分自身を見失わないこと」といった普遍的なテーマを掲げ、シーンに新たな価値観をもたらしました。そのポジティブな姿勢は、当時のハードコアシーンにおいて極めて革新的なものでした。アルバムは、疾走感溢れる「New Direction」で幕を開け、タイトル曲「Start Today」、ライブアンセム「Stand Still」、そしてラストを飾る「Competition」まで、一切の無駄を感じさせない全10曲・約25分。ハイスピードで駆け抜けるYOUTH CREW HARDCOREを軸にしながら、シンガロング必至のコーラス、緻密なブレイクダウン、メロディックパンクを思わせる爽快なフック、さらには後のモダンハードコアにも通じるヘヴィなリフワークまで自然に融合。80年代という時代を考えれば、その完成度は驚異的と言わざるを得ません。本作の核となるのは、Walter Schreifelsの卓越したソングライティングです。BAD BRAINSやMINOR THREATから受け継いだスピードと緊張感に、パンクロックならではの親しみやすいメロディを組み合わせることで、それまでのNYHCにはなかった開放感を生み出しました。そして、その楽曲へ命を吹き込むのがCivのヴォーカルです。決して技巧派ではありませんが、その飾らない歌声には圧倒的な人間味があり、「Start Today」「Friendship, Love and Unity」「Things We Say」などで歌われる前向きなメッセージは、30年以上経った今も色褪せることなく聴き手の胸を打ちます。本作が後世へ与えた影響は計り知れません。LIFETIME、KID DYNAMITE、STRIKE ANYWHERE、COMEBACK KID、HAVE HEART、TITLE FIGHT、さらにはメロディック・ハードコアやポップ・パンク、エモに至るまで、そのDNAは数え切れないほどのバンドへ受け継がれています。またWalter Schreifels自身も、この作品を経てQUICKSAND、RIVAL SCHOOLSへと活動を広げ、ポストハードコアの歴史そのものを築いていくことになります。ハードコアの持つ攻撃性、パンクロックの高揚感、優れたソングライティング、そして人を前向きにするメッセージ。そのすべてが奇跡的なバランスで結実したハードコアパンク史を代表する永遠のマスターピースです。