CERBERUS SHOAL / ST LP+MP3

USボストンにて1994年に結成されたエモ/ポストロックバンド、CERBERUS SHOALの名盤1stアルバムがTEMPORARY RESIDENCEより奇跡のヴァイナルリイシュー。オリジナル盤は1995年に自主レーベルStella Whiteからのリリースでしたが、少量プレス&弱めな流通も相まってあまり出回らず、過去の再発もCDのみだった事もあり今回のヴァイナルでの再発を待ち侘びていたファンも多いのではないでしょうか。長きに渡るバンドの歴史を振り返ってみると本作が最もエモ/ハードコアに接近した作風となっており、リリースの翌年96年にはTREE RECORDSの名コンピPost Marked Stampsへの参加、BRAIDやEXPLOSION IN THE SKYとの共演も果たすなど、エモ/ポストロック界隈との活発な交流があったという裏付けもあります。かつてポストロックバンドSONNAのメンバーでもあったJeremy Devine主宰のTEMPORARY RESIDENCEからの再発というトピック感も見逃せません。内省的なスポークンワードを取り入れたヴォーカリゼーションと徹底的に無駄を削ぎ落されたギターとリズムセクションが織りなす緊張感漂う静パートから、ささくれ立ったノイジーなギターとシャウトが炸裂するカオティックなバーストで緩急を付ける巧みな展開からは、RODANやSLINTといったルイヴィル周辺のポストロック、INDIAN SUMMERやCURRENT、PLUNGERといったearly 90s emoからの影響を感じざるを得ませんが、後の作品から顕著に現れるようになるサイケデリックロックなフレーヴァーをほんのりと感じるトラックもあり、直接的な模倣に留まらずメンバーの幅広い音楽的趣向と実験精神が垣間見える独自性を持った作品に仕上がっています。作品重ねる毎にエモやポストロックといった枠組みを越え、民族音楽などを取り入れたエクスペリメンタルロック的作風へと傾倒していきますが、本作はその果てしない音楽探求の第一歩を飾る記念碑的作品といえるでしょう。ヴァイナル再発に伴い、Bob Westonによるリマスタリングで音質もブラッシュアップされています。(kani)
  • Label:TEMPORARY RESIDENCE
  • Price:3,880
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