SLINT / Spiderland (remastered) 2xLP+MP3
まさかこのようなリリースがリリースしてから23年後に起こるとは本当に事件というかとにかく凄い。リリース当時はSONIC YOUTHやBIG BLACK以降のアーリー90'sのネット普及前のUSアンダーグラウンドの極みのような謎に満ちた暗黒のギターバンドという括りでしたが、時代が後から追い付き、ポストロックやマスロックの源流と云われるまで神格化したUSケンタッキー州ルイビルのSLINTの91年発表2ndアルバムの大量のアウトテイク/レアトラックを足したしかもBob Westonのオリジナルテープからのリマスター仕様で再び現代に蘇らせたSpiderlandにまつわる全歴史が公の場で公開されました。数ヶ月前にボックスセットが発売されましたが、本編以外のアウトテイクはダウンロードクーポンでのデジタル音源封入で価格を下げた仕様です。 いわずもがなの本編、"Spiderland"はあまりにも早すぎたUSルイヴィルのマスロック元祖もしくはポストロックの源流ともいうべき最重要アルバム。1stで見せたBIG BLACKやBASTRO系譜のサウンドを深化させハードコアともパンクとも形容しがたい不穏&轟音な内向系神経質ギターバンドの完成形がこれです。その早すぎたサウンドスタイルは当時は時代錯誤したバンド扱いでしたが後にとんでもない影響力を与えることになる。後にTORTOISEやPAPA M、FOR CARNATIONへと発展していく。91年作。 以下ダウンロードでの音源です。LP2枚目のタイトルの後に付くまさかのアウトテイクという、アウトテイクがあったというのが凄いですね。Pamというアウトテイクが2種収録されていて、彼らの前身バンドのSQUIRREL BAIT名残りも感じさせるハードコアテイストある疾走している曲でBASTROにも接近してる感じですが、アルバムに収録されなかったのは惜しいです。Basement Practiceというのは練習音源でしょうけど、剥き出される一発録りの緊張感やアナログテープの質感や地下で蠢いていた怪しさが恐ろしくも閉じ込められたテイクで驚愕します。後の2曲入りEP/stに収録される"Glenn"もアウトテイクという括りで収録されていて、多分そのEPのデモのようで曲のプロトタイプ感(若干BPMが遅い)や別バージョンというだけでファンは狂喜可能。 Todd’s SongとBrian’s Song(これはLP3枚目ですが)の曲名すらないPost-SpiderlandというもしSpiderlantの次作があればという解釈で聴かせてもらうと色々な憶測を交ぜつつより繊細で緻密なアンサンブル、これにスポークンワード的なヴォーカルが乗るかと想像すると...なかなか楽しく聴けます。更に奥深く突っ込んだ音源が収録されています、、4トラックのMTRで録られたデモテイクがもう完全に原石というか、Riff Tapeというだけあってリフのネタのデモテープそのまま収録されていて、これはかなりマニアックな音源でご愛嬌と取るかマニアック過ぎるレア音源と取るかは聴き手次第ですが、そもそもこんな20年以上前の音源が残ってるというのが凄いですよね。Cortez The KillerのライブテイクはNeil Youngの名曲カバー、SLINT流に料理してます。デモトラックも同様に保存状態もそこまで良くなかったのか途中に混ざるノイズややはりアナログ録音特有の質感はSpiderland完成系へと向かう序章であるかと思うと身震いします。
- Label:TOUCH & GO
- Price:3,980
円