遡ること94年、グランジ／オルタナティブブーム真っ只中、FUGAZI周辺のポストHC/エモバンドもメジャーレーベルの青田狩りにあう時代、DRIVE LIKE JEHUやSHUDDER TO THINK、QUICKSAND、CANDY MACHINE然り、このJAWBOXもメジャーのATLANTICからリリースしていた事実・・・この風潮であたかも新人バンドのように売り出されるも彼らは敢えてメジャーフィールドで挑戦して行ったいわくつきの作品にしてバンド史上最高傑作とも評価されてた作品でもあるこの"For Your Own Special Sweetheart"。そして次第に入手困難／レア盤扱いだった今作品が遂に権利を自分達に戻してDeSotoからの再発となりました。DISCHORDからの前2作品の作風を踏まえ、更に屈折複雑化した楽曲展開、完全に分離している2本のギターワーク、巧みなリズムワークや時折リスナーを突き放さんとばかりに多用する変拍子、そしてそれらとは対極にある耳に残るポピュラリティーあるメロディーライン、2人のヴォーカリストの声質の違いを活かしたパート割り、後にプロデューサーマンとして名を轟かせるJ.Robbinsのこだわりと今作のプロデューサーTed Nicelyの手腕との相性の良さなど。今回の再発に伴いSHELLACのBob Westonがかなり丁寧なリマスタリング（マスターテープから）を施していますので音質、高低音のバランスが良くなっています。Jason Farrell(BLUETIP/RETISONIC)によるアートワークもオリジナルのエレメントを随所に残しながらガラッと雰囲気を変えたものになっています。3曲のボーナストラックは当時シングルカットされたSavory EPにカップリングされた曲で当時ライブでも毎回演奏していた名曲"68"やBIG BOYSのカバー"Sound On Sound"など収録されています。今のマスロック／POST HCで括られているようなバンドは間違いなく通過している（通過しなくてはならない）最重要バンドです。